和服を着付けるのもただ着せているのではなく所々に重要なキメ作業があり仕上がりが格段に変わってきます。今回は私が普段気を付けているキメポイント4つを紹介させていただきます。最後に一番大切だと思うポイントを書いていますのでお時間がない方は最後だけでもお読み頂けたらありがたいです。
1.補正
着付でまず重要になってくるのが長襦袢を着る前、着物の形を整える「補正」です。
そう!!!補正が大事なんです!!!
何をするにも土台が肝心ですよね。何度も言いますが着付に関しても補正が重要になってきます。身体には凹凸があり、左右対称ではないので、それを埋める為にタオルとコットンを使って補正をしていきます。ウエストは寸胴に胸はなだらかか、はと胸にします。
着る着物によって補正が多少変化しますが補正と皮膚を一体化させること・左右対称にすることがポイント!この補正が重要でかなり難しいのです。
たまに、補正なくていいとおっしゃる方がいらっしゃいますが補正は重要なのです。ちょうど紐がくるところなのでクッション代わりにもなりますしね。仕上がりが綺麗ですし、長時間着ていても着崩れがないです。
ここで補正のメリット・デメリットをまとめてみると
メリット
補正をしっかりやっておくと
体系が綺麗に見える
姿勢よく見える
仕上がりが綺麗
苦しさが軽減できる
着崩れしにくい
デメリット
補正をしっかりしていないと
左右のバランスが合わない
着物が体にフィットしないので衿などに隙間ができる
紐や帯を締めたら苦しい
着崩れしやすい
長時間着ていると苦しくなる
詳しい補正のやり方は後日紹介します。
2.衿合わせ
そして次に大事なのは、衿合わせです。 お召しになる着物や年代によって衿合わせの角度が変わってきます。
着物の種類(振袖・留袖・白無垢・色打掛等)によって衿部分の長襦袢を見せる範囲を変えなければならないのでそれを間違えるとすごい不自然に見えます。
そして、たまに長襦袢のⅤと着物のVがズレて着付けされている方がいます。 これでは首が曲がって見えてしまうのでキッチリ正中線に合わせなければなりません。コンテストでも重要な審査ポイントになっています。
衿合わせのメリットとデメリットをまとめると
メリット
前から見たときに左右のブレがなく姿勢よく見える。
デメリット
前から見たときのバランスが悪い
首が曲がっているように見える
誰が見てもおかしいと分かってしまう
そうなんです。衿合わせがズレていると着物に全く興味がない人が見てもおかしいと分かってしまう部位なんです。
3.裾合わせ
裾合わせも難しく、ただ合わせたらいいという事ではなく慎重に決めなければ後の手直しが大変になってきます。下前(中に入るほう)は歩きやすいように手前に折り返しておかないと足に巻き付いて歩きづらくなります。 裾の長さもきちっとしておかないと長すぎると踏んで更に裾が落ちてきたり、短かすぎると足首が見えてルパンみたいな感じになります(笑)
裾合わせデメリットまとめ
手直しが大変
歩きにくい
長いと踏んでしまう
短いとルパンになる
4.おはしょり
おはしょりも綺麗に出したいポイントです。 身長によって幅が決まってくるのですがその幅が短すぎたり長すぎたりすると不細工に見えます。あと、左右対称に長さを合わせないと正面から見た時これもまた不細工に見えます。
おはしょりデメリットまとめ
身長に合わせた長さできっちり合わせないと不細工に見える
最後に
キメポイントは4つとお伝えしてきましたが,最後にもう一つ私が着付けで一番大切で一番難しいと思い毎回意識している事は
長時間着ていても苦しくなく着物を楽しんでいただく
です。当たり前だと言う人もいるかと思いますが、これにはかなり高いレベルの技術が必要になってきます。これをするには着付けする人の体格やその日の体調を理解できていないとできないですし、体調によって帯などの締め方・力加減・力の入れ方の技術。中には気分が悪い事を言っていただけないお客様もいらっしゃるので聞き出す話術・コミュニケーション能力も必要になってきます。
普段から着物を着ているという人は少なく(皆さんに着て頂きたいですが)着る場面といえば成人式・七五三・結婚式大きくピックアップしてみてもこの3つくらいではないでしょうか。この貴重な記念すべき日に着物を着て体調が悪くなったりしたら、もう着物を嫌いになっちゃいますよね?
着付け師としては絶対にやってはいけません。
私はこの最後のポイントを一番にこれからも皆さんのお着付けをさせていただこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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